松本清張サスペンス特別企画 霧の旗
[TBS]
2003年9月16日(火)21:00~22:54
刑事事件を専門とする弁護士・大塚欽三(古谷一行)は、若い時分から正義感溢れ、人権派と呼ばれたこともある。自分の弁護士事務所を持ち、日本有数の敏腕弁護士となり、社会的な地位も上がった今でも凡百の弁護士よりは誠実に仕事に向き合っていると自負していた。多くの訴訟を抱え、忙しい日々を送る大塚は、久々の休暇を取ることにした。大塚には径子(多岐川裕美)という愛人がおり、その径子を伴って一泊のゴルフ旅行に出かける予定だった。旅行に出かける日、若い女・桐子(星野真里)が大塚の事務所を訪ねてきた。金貸しの老婆を殺したとして、起訴された兄・正夫(池内万作)の弁護をして欲しいというのである。桐子は兄が無実であると確信しており、優秀な上に報酬にこだわらずに戦うという大塚の評判を聞いて、わざわざ青森から出てきたのである。大塚が東京から出向いて裁判をするには500万以上かかるが、桐子には100万円しかない。大塚は多忙を理由に桐子の依頼を断った。翌日の朝、桐子がどうしてももう一度大塚に会いたいといって、再び大塚の事務所を訪れた。事務員の奥村(渡辺いっけい)が大塚の戻りは夕方になるというと、桐子は大塚が戻るまで事務所で待つという。6時間後、事務所に電話を入れた大塚は、奥村に報告を受けるが、奥村の勧めに従って事務所に戻るのを止め、奥村に桐子の依頼を断るのを任せた。桐子は兄の無実と、お金がないために無実の人間を見殺しにするのかを訴えるが、奥村が取り合おうとしないため、怒りを抑え、思いつめた表情で帰っていった。1年後、大塚に桐子からハガキが来た。兄が一審で死刑判決を受け、控訴したが二審を待たずに拘置所で病死したことを告げていた。心が動いた大塚は、正夫の事件を独自に調べ始めた。しかし、それが自身の破滅に繋がる行為になるとは思いもよらなかった…。
【原作】松本清張「霧の旗」
【脚本】石原武龍(日脚連)
【出演】古谷一行、星野真里、風間トオル、池内万作、渡辺いっけい、三田村邦彦、一色彩子、多岐川裕美、音無美紀子、金田明夫、相島一之、若林志穂、津久井啓太、浅沼晋平
【プロデューサー】篠原茂、安倍純子
【製作著作】テレパック
【プロデューサー】矢口久雄
【ディレクター】脇田時三