水曜ミステリー9 北アルプス山岳救助隊・紫門一鬼7
白馬大雪渓・殺意の罠
[TX]
2005年9月7日(水)21:00~22:48(全1話)
白馬岳の山小屋を、華道家・峰原弥生(野村真美)、編集者・高畑明久(潮哲也)、山岳カメラマン・篠田由香(遊井亮子)の一行が訪れた。弥生が活ける華道作品のための撮影旅行だという。しかし3人の仲は険悪だ。芸術家肌の弥生に、苛立ちを隠せない由香。弥生を家元に据えて、峰原流を乗っ取ろうとする高畑。山小屋の主人・大杉尚(高橋元太郎)は、仲の悪い3人に登山ができるのか心配する。高畑は大杉に、弥生の最初の作品集を見せた。「立山連峰に稲光が走る瞬間」を捉えた写真を背景に、華麗な生花が据えられる。見事な山岳写真だった。北アルプス山岳救助隊・紫門一鬼(高嶋政宏)が、山荘を訪れた。山小屋の手伝い・秋葉美由紀(山下容莉枝)の黒石の指輪に目を留めて、世間話に興じる紫門。そこに、山岳小説家のガイド・村越保(深水三章)が現れる。村越の姿を見ると、高畑は不快そうに立ち去ってしまう。翌朝、美由紀が食堂に、大雪渓の上にある通称・お花畑の写真を飾った。写真を見た弥生は、行ってみたいと言う。「紅ガラの赤いラインに沿って、ザイルがあるから安全」だという大杉。美由紀も弁当を持って、大雪渓下の窪地まで付き添った。大雪渓へ向かう高畑のザイルが、張り詰めた。滑落する高畑の絶叫が響き渡る。北アルプス山岳救助隊が急行したが、高畑は即死だった。付近にはカラビナとアイスハーケンが落ちている。氷結した滝登りなどに使われるアイスハーケンが、大雪渓にあるのは不自然だ。さらに紫門は、紅ガラの赤いラインの方向がいつもと違うことに気付く。現場を撮影すると、それはやはり以前のラインとは異なっていた。安全管理に気をつけてきた大雪渓で被害者が出たことに、大杉はショックを受ける。しかし紫門は、何者かが滑落の罠を仕掛けたものとみて、納得がいくまで調べる決意をした。高畑の妻・史子を訪ねた紫門は、高畑夫婦が離婚寸前だったと聞く。高畑は弥生と不倫関係にあったのだ。しかし弥生は、強欲な高畑とは縁を切ることにしたと言う。そしてカメラマンの由香は、高畑も悪党だが、弥生もまた天然の悪女だと吐き棄てる。高畑は事故当時、スナップ写真を所持していた。写っているのは登山者3人だが、胸の辺りで切れて顔はわからない。白馬北署の調べにより、撮影場所は立山、被写体のうち2人は高畑、村越と推定された。白馬北署は、任意同行で村越を引っ張ろうとする。しかし村越は山中で、転落死体となって発見された。そして、弥生の写真集の表紙を飾った「立山連峰に稲光が走る瞬間」の山岳写真をめぐる、過去の事件が明るみに…。
【原作】梓林太郎
【脚本】渡辺善則
【出演】髙嶋政宏、渡瀬恒彦、野村真美、山下容莉枝、遊井亮子、深水三章、高橋元太郎、一色紗子、潮哲也、片桐竜次、若山騎一郎、小林健、渡辺寛二 ほか
【製作著作】テレパック
【プロデューサー】杉村治司